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初声日语教学部&初声日语电台联合制作——全书朗读《起风了(風立ちぬ)》
風立ちぬ-1
朗读:初声教学部 柠檬
作者:堀辰雄
音审校对:教学部茉莉&电台Seki
后期制作:小樱
私達の乗った汽車が、何度となく山を攀(よ)じのぼったり、深い渓谷に沿って走ったり、又それから急に打(う)ち展(ひら)けた葡萄畑(ぶどうばたけ)の多い台地を長いことかかって横切ったりしたのち、漸(や)っと山岳地帯へと果てしのないような、執拗(しつよう)な登攀(とうはん)をつづけ出した頃には、空は一層低くなり、いままではただ一面に鎖(と)ざしているように見えた真っ黒な雲が、いつの間にか離れ離れになって動き出し、それらが私達の目の上にまで圧(お)しかぶさるようであった。空気もなんだか底冷えがしだした。上衣の襟を立てた私は、肩掛にすっかり体を埋めるようにして目をつぶっている節子の、疲れたと云うよりも、すこし興奮しているらしい顔を不安そうに見守っていた。彼女はときどきぼんやりと目をひらいて私の方を見た。はじめのうちは二人はその度毎に目と目で微笑(ほほえ)みあったが、しまいにはただ不安そうに互を見合ったきり、すぐ二人とも目をそらせた。そうして彼女はまた目を閉じた。
「なんだか冷えてきたね。雪でも降るのかな」
「こんな四月になっても雪なんか降るの?」
「うん、この辺は降らないともかぎらないのだ」
まだ三時頃だというのにもうすっかり薄暗くなった窓の外へ目を注いだ。ところどころに真っ黒な樅(もみ)をまじえながら、葉のない落葉松(からまつ)が無数に並び出しているのに、すでに私達は八ヶ岳の裾を通っていることに気がついたが、まのあたり見える筈の山らしいものは影も形も見えなかった。……
汽車は、いかにも山麓(さんろく)らしい、物置小屋と大してかわらない小さな駅に停車した。駅には、高原療養所の印のついた法被(はっぴ)を着た、年とった、小使が一人、私達を迎えに来ていた。
駅の前に待たせてあった、古い、小さな自動車のところまで、私は節子を腕で支えるようにして行った。私の腕の中で、彼女がすこしよろめくようになったのを感じたが、私はそれには気づかないようなふりをした。
「疲れたろうね?」
「そんなでもないわ」
私達と一緒に下りた数人の土地の者らしい人々が、そういう私達のまわりで何やら囁(ささや)き合(あ)っていたようだったが、私達が自動車に乗り込んでいるうちに、いつのまにかその人々は他の村人たちに混って見分けにくくなりながら、村のなかに消えていた。
私達の自動車が、みすぼらしい小家の一列に続いている村を通り抜けた後、それが見えない八ヶ岳の尾根までそのまま果てしなく拡がっているかと思える凸凹の多い傾斜地へさしかかったと思うと、背後に雑木林を背負いながら、赤い屋根をした、いくつもの側翼のある、大きな建物が、行く手に見え出した。「あれだな」と、私は車台の傾きを身体に感じ出しながら、つぶやいた。
節子はちょっと顔を上げ、いくぶん心配そうな目つきで、それをぼんやりと見ただけだった。
サナトリウムに着くと、私達は、その一番奥の方の、裏がすぐ雑木林になっている、病棟の二階の第一号室に入れられた。簡単な診察後、節子はすぐベッドに寝ているように命じられた。リノリウムで床を張った病室には、すべて真っ白に塗られたベッドと卓と椅子と、――それからその他には、いましがた小使が届けてくれたばかりの数箇のトランクがあるきりだった。二人きりになると、私はしばらく落着かずに、附添人のために宛てられた狭苦しい側室にはいろうともしないで、そんなむき出しな感じのする室内をぼんやりと見廻したり、又、何度も窓に近づいては、空模様ばかり気にしていた。風が真っ黒な雲を重たそうに引きずっていた。
そしてときおり裏の雑木林から鋭い音をいだりした。私は一度寒そうな恰好(かっこう)をしてバルコンに出て行った。バルコンは何んの仕切もなしにずっと向うの病室まで続いていた。その上には全く人けが絶えていたので、私は構わずに歩き出しながら、病室を一つ一つ覗いて行って見ると、丁度四番目の病室のなかに、一人の患者の寝ているのが半開きになった窓から見えたので、私はいそいでそのまま引っ返して来た。
(因中文译文版已有出版作品,故本节目不备注中文翻译)
1359969vvqy
素晴らしい声、日本の方ですか
初声日语 回复 @1359969vvqy:
lemon大大非常厉害,运营小伙伴听着也会有是母语者的错觉!
hiroshi的小可爱
声音好好听啊
初声日语 回复 @hiroshi的小可爱:
嘻嘻,谢谢小伙伴的喜欢😘
朝比玲奈
哇,声音好听!!
熊嘟嘟_2a
好好听,像唱歌一样~😛
皮卡wht
听不懂,但很好