(天声人語)我田引道
2019年4月6日 土曜日
先月来、元号史を調べる必要から『易(えき)経(きょう)』など漢籍(かんせき)をたびたび開いた。難解(なんかい)ながら現代語(げんだいご)訳(やく1)は何とかわかる。きのう探したのは「忖度(そんたく0)」。『詩経(しきょう)』の中ほどにあった。〈他人心(こころ)有(あ)らば予之(これ)を忖度す〉。拙(せつ)訳(やく)では、人の邪心(じゃしん0)を推量するのはたやすいの意か▼
「インスタ映え(ばえ)」と並んで「忖度」が流行語大賞に選ばれたのは、おととしのこと。森友・加計問題をめぐる国会審議で幾度となく使われた。野党の追及も下火(したび)になり、昨年の後半からはこの語を聞く機会が減る▼
「私、すごく物(もの)わかり3がいいんです。すぐ忖度します」。そう述べた塚田(つかだ)一郎(いちろう)・国土交通副大臣が辞任した。首相と財務相の歓心を買うため、両氏の地盤(じばん)を結ぶ橋を架けてみせると大(おお)見え(みえ)を切ったのである。「厳重注意」で済まされる話ではない▼
気になって「忖度」の用例(ようれい)を調べてみた。菅原道真(すがわらのみちざね)や福沢(ふくざわ)諭(ゆ)吉(きち)も使っているが、例は多くない。推量や斟酌(しんしゃく)の意で、善悪(ぜんあく)1の含みはない。現在は悪いニュアンスが前面に出て、しかも頻繁に使われる。『詩経』以来、数千年に及ぶ忖度史上、初めてのことではないか▼
自分や派閥(はばつ)領袖4(りょうしゅう)の選挙(せんきょ)区(く)3に道路や港湾(こうわん)、空港を誘致するような政治家の厚顔(こうがん)なふるま0いは、今に始まったことではない。我田引水ならぬ我田引鉄、我田引港である。それにしても今回ほどあからさまな我田引道の発言は珍しい▼
関門海峡を結ぶこの道路、いつか思惑(おもわく)通りに完成したとして何と呼ばれるのだろう。「安倍(あべ)麻生(あさぶ)道路」か。はたまた「忖度道路」か。
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做猪呢最重要的是开心
听不懂啊
LittleIronMan 回复 @做猪呢最重要的是开心:
哈哈,我好像知道你这个头像