朗読 横島小次郎
内容 : 力比べに負けて、人食いをやめた鬼。
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むかしむかし、大阪のある山に、恐ろしい人食い鬼が住んでいました。
その人食い鬼には一人娘がいて、今日は初めて人間を食べる日です。
人食い鬼の娘
「さあ、もうすぐここを人間が通るから、襲いかかって食べるんだよ」
鬼の父親がやさしく言うと、鬼の娘は怖がって首を振りました。
人食い鬼の娘
「いやや。人を食べるなんて、いやや」
「大丈夫、わしがついていてやるから。
大体、人も食えんようでは、立派な人食い鬼にはなれんぞ」
人食い鬼の娘
「でも???」
「さあ、頑張るんだ」
鬼の父親は、一生懸命に娘に言い聞かせました。
するとそこへ、男の人が通りかかりました。
人食い鬼の娘
きりりとしたなかなかの美男子で、それに力も強そうです。
人食い鬼の娘
鬼の娘は怖いやら恥ずかしいやら、すぐに父親の後ろに隠れました。
人食い鬼の娘
「ほら、何をぐずぐずしている。早く食わんか」
人食い鬼の娘
鬼の父親は、娘を男の人の前に突き出しました。
人食い鬼の娘
人食い鬼の娘
「人食い鬼だ!」
人食い鬼の娘
びっくりした男の人は、すぐに逃げ出そうとしました。
人食い鬼の娘
すると鬼の娘は、手で顔を隠して泣き出したのです。
人食い鬼の娘
「いやや。人を食べるなんて、いやや」
相手は人食い鬼といっても、まだ可愛い娘です。
男の人は落ち着くと、鬼の娘にやさしく言いました。
「よしよし、もう泣くな。
それよりも、わたしと腕相撲をしないか。
人食い鬼の娘
もしお前さんが勝ったなら、わたしは喜んで食われてやるよ。
人食い鬼の娘
でもお前さんが負けたなら、もう人を食うのをあきらめておくれ。
いいね」
そのとたん、鬼の娘はにっこり笑いました。
人食い鬼の娘
鬼の娘は腕相撲が大好きで、これまで鬼の仲間に負けた事がありません。
「うん。腕相撲をしよう」
人食い鬼の娘
そして男の人と鬼の娘は、さっそく腕相撲をはじめました。
「はっけよい。のこった!」
人食い鬼の娘
ところが男の人の力はとても強くて、鬼の娘の腕は今にも倒れそうです。
隠れて見ていた鬼の父親も、とうとうがまん出来ずに飛び出してきました。
人食い鬼の娘
「娘よ、何をやっている。相手は、たかが人間だぞ。しっかりしろ。ほれ、今だ」
人食い鬼の娘
でも男の人は強くて、鬼の娘は体ごとひっくり返されてしまいました。
人食い鬼の娘
「やん、負けてしもうた」
人食い鬼の娘
鬼の父親は娘を起こすと、叱る様に言いました。
人食い鬼の娘
「何とも、なさけない。これでは、人を食う事が出来んではないか」
そして鬼の父親は、男の人に言いました。
「今度は、つな引き勝負だ」
人食い鬼の娘
そして持っていたつなの一方を男の人に渡すと、鬼の父親は娘と二人でつなを力一杯引っ張りました。
人食い鬼の娘
「それ! 鬼の力を見せてくれよう!」
人食い鬼の娘
しかし男の人はとても強くて、
人食い鬼の娘
鬼の親子はずるずる引っぱられてしまいます。
「おい! 誰か手伝え!」
人食い鬼の娘
鬼の父親の言葉に、どこからか二人の鬼が飛び出して来て、一緒につなを引き始めました。
人食い鬼の娘
「それ引け、わっしょい! それ引け、わっしょい!」
四人の鬼は、歯を食いしばって、つなを引きます。
人食い鬼の娘
ところが四人ともずるずると引っ張られてしまい、男の人の方へと倒れ込んでしまいました。
人食い鬼の娘
鬼の父親は、びっくりです。
人食い鬼の娘
「こいつは、たまげた!
お前は、いやあなたは、なんと力の強いお人だ。
とてもとても、我々鬼の食えるお人ではない」
人食い鬼の娘
感心する鬼の父親に、男の人が言いました。
人食い鬼の娘
「それでは約束通り、人を食うのをやめてもらうぞ」
人食い鬼の娘
「わかった。約束は守ろう」
人食い鬼の娘
人食い鬼の娘
それから鬼たちは約束を守って、二度と人を襲わなくなったそうです。
人食い鬼の娘
おしまい
イラストレーターの夢宮 愛さんが、その後のお話しを描いています。
お互いに心引かれる若者と娘鬼???。
阿森慢慢读
确实,读的和文章不一致
xiephoenix
文章与朗诵內容不一致