[朗読]夏の音、夏の匂い

2023-10-19 02:07:4904:05 3749
声音简介

親に「たまには帰って来て顔でも見せろ」と言われたので久々に帰省することにした。
仕事を始めてから休みの日は疲れて寝てばかり。
たまには親孝行もいいかと思ったのだ。
自分で作らなくても美味い食事が出てくる…それも魅力的だった。

早朝の電車に乗り込み、実家の最寄り駅までぼんやり景色を眺める。
徐々に減っていく背の高いビル群。
地面を覆っていたアスファルトの面積が減り植物が増えていく。
夏の日差しにも負けない濃い緑を眺めながらの移動は、思っていたより悪くなかった。

実家(じっか)はあの頃(ごろ)と変わらずそこにあった。
何かとやかましい両親に迎えられ、仕事で疲れた体を休めるために横(よこ)になる。
風鈴(ふうりん)の音色(ねいろ)と蚊取り線香(かとりせんこう)の匂い。
どちらも今の自分の家とは無縁(むえん)のもの。
まどろみながらどこか懐かしさに包まれる(つつまれる)。

線香の香りと仏具の音で目を覚ますと、親戚が仏壇参りに来ていた。
世間話や近況報告をしながらスイカを頬張る。
キンキンに冷えた大きなスイカはやたら美味かった。

延々(えんえん)続く両親と親戚の会話に居心地(いごこち)の悪さを感じて海へ出かける。
繰り返される波の音。
懐かしい潮の香り。
手頃(てごろ)な日影(ひかげ)を見付けて腰をおろし、途中で買ったアイスを頬張った。
夏の暑さを気持ちいいと思ったのはいつ以来だろう。
数年ぶりに夏が来た事を実感した気がした。

そのまま近所の祭りへ。
昔と変わらない賑やかさに思わず笑みがこぼれた。
蝉しぐれと屋台の匂い。
子ども達が親からもらった小遣いで何を買うか真剣に悩んでいる。
それを横目(よこめ)で眺めながら、何年ぶりか分からないラムネを飲んだ。
閉じ込められたビー玉が涼しげな音をたてて揺れる。

夕闇と共に人が増え、ざわめきが大きくなる。
和楽器(わがっき)の奏でる(かなでる)祭囃子(まつりばやし)。
神輿(みこし)を担ぐ(かつぐ)声(こえ)。
汗とビールと日本酒(にほんしゅ)の匂い。
大人達が豪快(ごうかい)に、そして陽気(ようき)に酔っている。

人酔いを覚まそうと遠回りした帰り道。
微かに聞こえる虫の声。
祭りの残り香(のこりか)をさらうように風が吹き、少し汗ばんだ体に心地よかった。
遠くで花火が上がる音を聞きながら歩く。

ふとした瞬間に音や匂いから実感する夏。
子供の頃は当たり前だったのに、大人になって日常から縁遠く(えんどおく)なったもの。
「また来年も来られるといいな」そう呟いて夜空に咲く大輪の花を見上げた。

用户评论

表情0/300
喵,没有找到相关结果~
暂时没有评论,下载喜马拉雅与主播互动
猜你喜欢
夏夏姐姐の直播回放

萌萌的直播回放都在这里哦!

by:萌法少女

探索夏夏の未知世界

最新推出的实时互动节目。每周日的群里活动很多宝宝没办法来参加。现在出了一档全新的节目...

by:夏春瑶

夏染の玩泥素材

解压,治愈,玩泥视频

by:北巷故人丶夏染

【轻电音】在耳机里感受夏日の暖风

“渴望拥有阳光,但又害怕阳光,极度慵懒、情绪复杂。能真正“Ting”下去的人都是幸福的,但也又是孤独的。”

by:歌单精选集

夏洛特の秘境之旅|神秘试听版

帕丁羊梦幻联动原创小说一位身世迷离的神秘少女一座看似平静实则危机四伏的欧洲小镇一趟源于偶然但意义重大的密境之旅一场围绕着正义与邪恶对抗的秘境谜团夏洛特·普林希斯...

by:萌法少女

念念の音展

日常小练习,记录个人成长。

by:O念念O