【共读连载】情书(01)

2022-05-05 02:11:3706:44 3213
声音简介

 藤井樹が死んで二年が過ぎた。

 そして三月三日の三回忌。雛祭のその日、神戸には珍しく雪が降った。高台にある共同墓地も雪の中に埋もれ、喪服の黒にもまだらな白がまとわりついた。

 博子は空を見上げた。色のない空からとめどなく降る白い雪は素直に美しかった。雪山で死んだ彼が最後に見た空もきっとこんな風だったのだろうか。

 「あの子が降らせてるみたいね」

 そう言ったのは樹の母の安代だった。本当なら博子の義母になっている人だった。


    藤井树过世两年后。

    三月三日的两周年祭日。女儿节。神户下了场罕见的雪,公墓也被笼罩在大雪之中。丧服的黑色和斑驳的白色纠缠在一起。

    博子仰望天空,洁白的雪花漫无边际地从无色透明的天空飘落,美得无法言说。死于雪山的他,在最后那一刻看到的天空恐怕也是这样的吧。

    “这雪,好像是那孩子让下的。”

    阿树的母亲安代这样说道。如果不出意外,她应该已经成了博子的婆婆。


 焼香の順番が回ってきた。

 墓前で手を合わせ、改めて彼と向き合った博子は妙に穏やかな気持ちでいる自分に我ながら驚いた。歳月というのはこういうことなのか。そう思うと博子はちょっと複雑な心境だった。(薄情な女でごめんね)

 博子の立てた線香は束の間薄い煙をくゆらせていたが、一粒の雪が先端に触れてその火を消した。それが彼の悪戯のように博子には見えた。

    胸がつまった。

    轮到博子上香了。
 博子在墓前双手合十。出乎博子意料,再次和他面对面,自己竟然心如止水。这就是所谓的岁月吗?一念及此,博子心情有点复杂。(抱歉,我是个寡情寡义的女人啊。)
 博子上的线香不一会儿就缓缓地升起轻烟。一粒雪扫过,火熄了。博子把这当作他的恶作剧。
 胸口一紧。

 焼香が済むまでの間、雛祭にちなんで熱い甘酒がふるまわれた。参列者たちも急に賑やかになり、湯呑で暖をとりながらそれぞれつまらない世間話に花を咲かせ始めた。そのほとんど樹の親族である。そして樹について十分な記憶を持ち合わせていない連中でもあった。彼の墓を前にしていながら彼の話題は皆無に近かった。無口でどちらかといえば取っ付きにくい彼の人となりを思えば無理もないことなのだろう。若かったのにねぇ。彼らにすればその程度しか話題のない故人であった。

    因为是女儿节,所以上香结束前,还要招待大家喝爇甜酒。吊唁的人们顿时爇闹起来,一面用酒杯取暖,一面开始东家长西家短地拉起家常来。他们大多都是阿树的亲戚,也是一群已对阿树印象不太深刻的家伙——在他的墓前,却几乎绝口不提他的事情。阿树平时不爱说话,算得上是很难接近的人。他们这样对他,倒也在情理之中。太年轻了啊——他对他们而言,也就是这样一个再无其他话题的逝者。


 「わしは甘いのがだめなんや。辛いのはないんか?辛口の酒」

 「わしもそっちがええな」

 男連中の我儘なリクエストに樹の父の精一が応え、安代を呼びつけた。

 「安代!おまえアレ持って来いや。菊正かなんかあったやろう」

 「今?どうせ後で好きなだけ飲めるじゃない?」

 「いいから、いいから。供養、供養!」

 不機嫌そうな顔をして安代は菊正を取りに走った。

 こうして雪の中で早々を宴会が始まると菊正一本では足りなくなり、次々に運ばれてくる一升瓶が雪の上に並んだ。

 「博子さん....」

 不意に声をかけてきたのは樹の山の後輩たちであった。さっきから隅のほうで気まずそうに固まっていたのは博子さんも気づいていた。しかし樹の本来の仲間、彼と一緒に山に登り、彼を置き去りにして下山した肝心のパーティーのメンバーたちの姿は見えなかった。

   “甜的我可喝不了啊,没有辣的吗?辣的酒!”
 “我也喜欢辣的。”
  阿树的父亲津一接受了这些男人的任性要求,叫来安代:“安代!把那个拿来,不是有菊正①什么的吗?”
 “现在?不是过一会儿再随便喝的吗?”
 “行了,行了,拿来!拿来!”
 安代一脸不高兴地跑去取菊正。
 就这样,宴会早早在大雪之中拉开了序幕。一瓶菊正已经不够,又陆陆续续拿上来。一个个一升装的酒瓶子摆在雪地里。
 “博子……”
 突然开口喊博子的是和阿树一起登山的师弟们。博子也注意到了,他们从一开始就一直窘迫地聚在一旁。但关键人物——阿树,却抛下这些和他一起登山的队友,再也不会出现了。


 「先輩たち、今日は自宅謹慎ですわ」

 「みんないまだに罪の意識ですよ。秋葉さんなんかあれから一回も山に登っとらんもん」

 秋葉というのは樹の一番の親友である。そしてあの最後の登山のリーダーでもあった。崖下に落ちた樹を見捨てる決断をしたのも彼だった。葬儀の日、秋葉とパーティーの仲間は樹の親族たちから参列を拒否された。あの時は誰もが感情的になっていた。

 「山の掟なんぞ山の上でしか通用せんのや!」

 親族の一人が、秋葉たちを罵ったのを博子さんは今でも忘れない。言った当人は果たして憶えているのだろうか。今そこで酒をくらって馬鹿騒ぎしている連中の中にいるはずだった。

 「みんな来てくれればよかったのに」

 「いやぁ....」

    “师兄们今天在家闭门思过呢。”
 “大家至今还有罪恶感呢。秋叶他们从那之后一次也没登过山。”
 秋叶是阿树最好的朋友,也是最后那一次登山的领队。阿树掉下悬崖后,作出“弃他而去”的决定的就是他。葬礼那天,阿树的亲戚们拒绝秋叶和队员们前来吊唁。当时,每个人都很感情用事。
 “登山的规矩只在山上才管用!”
 一个亲戚这样骂过秋叶他们,博子至今记忆犹新。说这话的那个人现在还记得这些吗?他此刻应该就在喝了酒胡闹的人群里吧。
 “大家都过来就好了。”
 “这个……”


 後輩たちは言葉を濁して顔を見合わせた。そして一人がこっそり教えてくれた。

 「ホント言うとね、先輩たち今夜こっそり墓参りに来る計画みたいですよ」

 法要が終わると、次は料亭の宴会が待っていた。そうなると雪の下に甘んじる忍耐力も一気に失せ、みんな急に寒がりながら足早に駐車場に駆け下りて行った。博子も誘われたが辞退した。

 車にエンジンをかけたところに精一がやってきて窓をたたいた。

 「博子ちゃん、すまんけど帰りにこいつウチの前に落っことしてってくれ」

 見ると安代はこめかみを押さえてつらそうにしている。

 「どうしたんですか?」

 「なんや急に頭痛いんなんか言い出したもんやから」

 精一はドアを開けて安代を後部座席に押し込んだ。

 「あいたたた!そんな強く押したら痛いわよ!」

 「何言うとんや。これから大忙しやいう時に。ほんま役に立たん奴や」

 安代をしかりつけた精一は返す顔で博子にすまなそうに笑ってみせた。その精一の背中に酔っ払った親族の一人がからんできた。

 「治夫さん、もう酔っ払ったんか?」

用户评论

表情0/300

kenka

点赞解决了我查网络字典查不到个别词语读音的苦恼。

古顏

谢谢分享

听友328866990

声音和语速可以的

听友348631618

还有在听的嘛?

1393121jshz

你好,感谢你传的文稿,太好了,后续文稿哪里能看到?

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