【专辑内容】
节选自作家西沢泰生的日常治愈系小故事,外教由佳老师朗读。每则时长5-7分钟,文章篇幅约为竖版口袋书4页。描写日常生活点滴,真实反映日本人情感细节、生活侧面、文化情怀等,日本高中生可理解的程度,难度约为日语N1级别。
【适合人群】
1. 日语词汇量丰富,语法掌握比较扎实,有相当听解能力。可直接收听,能较好的理解内容,并享受故事氛围。可能会受到理解干扰的部分是,涉及日本社会各层面各领域的人名、习惯性说法、固有常用语,以及可能不太熟悉的一些日本文化背景。请参照音频下提示的重点词句帮助理解。
2. 正在提高听力的道路上努力狂奔,想要寻找有内容的听力素材。可以参照音频下的故事原文,当有声书边看边听。从内容来讲,本身也是值得N次循环收听,和无限次影子跟读的。
3. 想要练习日语发音、语音语调和朗读,正犯愁身边没有适合的外教老师。由佳老师接受过播音方面的专业训练,是HANA日语里最擅长朗读的外教老师。小故事朗读基本接近普通日本人的常态语速,可以作为日语跟读朗读的素材。
【专辑特点】
纯外教原声,每日准点更新,真实常态语速,无混音特效,无音乐背景。希望能对大家的日语听力学习有所帮助。
【命がけの姿を見て】
新宿のカフェで原稿執筆をしていたときのことです。
そのカフェは通りに面したビルの3階にあり、壁がガラス張りで、景色がよく見える造り。私はそのカフェの窓際の席でパソコンを開いて原稿を書いていました。
ふと画面から目を離し、何気なく外の景色に目を向けたとき。
向かいのビルが解体中で、とび職の1人が、とんでもなく高いところで作業をしているのが目に入りました。
建物はもう下のほうを残して解体済みで、そのとび職の人は、鉄パイプ(鉄棒くらいの太さ)で組んだ骨組みに、幅が50センチに満たないくらいの足場を通して、そこを行き来して作業をしています。
その骨組み。途中まではいいのですが、一番上の足場に立つと、吹きさらしで何もつかまるものがありません。
つまり、そのとび職の方。軽くビルの4階くらいの高さがあるのに、幅50センチ弱の鉄板の上を、何にもつかまらずにヒョイヒョイ歩いているのです。
見れば、腰のあたりに命綱をつけて、その綱の先端の金具を足元の鉄パイプにはめ、綱を引きずるように移動しているのですが、移動範囲が広くて、しょっちゅう、金具の部分を鉄パイプから外してはまたはめている。
あんな命綱、単に「ある」というだけで、もし、ふらついて落ちたら何の役にも立たないように見えます。しかも、とび職の人が歩くだけで、鉄パイプの骨組み自体がグラグラと揺れているではありませんか。
こ……怖すぎる。
私なら、「あそこに立つだけで100万円あげる」と言われてもいやです。
すぐ目の前でサーカスばりの作業を見せられて、私はもう原稿どころではありません。気になって、怖いけれど目を離せない……。
ずっと見ていると、どうやら、彼は「用済みになった足場の撤収」をしているようで、足場の端っこに行って、骨組みの鉄パイプを引っこ抜き、一段下にいる仲間に手渡しているのです。転落防止のために組まれた鉄パイプを撤収しているのですから、危ないことこの上なし。見ているこっちは、もうヒヤヒヤです。
ふと店内を見渡すと、私だけではなく、窓際に座っているお客の全員が、目の前のビルでとび職の彼が続ける命がけの作業に見入っていました。
若い女性客が彼氏に「マジっ。信じらんない。怖すぎっしょ」なんて言っているのが聞こえます。
手に汗を握って見続けること、約20分。
とび職の人は無事に、頂上部分から降りてくれました。
調べてみると、正式な数は公表されていませんが、とび職の方の転落事故は毎年のように起こっているようです。
私が目撃した足場の撤収は、とくに危険な作業だということもわかりました。
もし、この作業を見る前にそのことを知っていたら、とてもではありませんが怖くて見ていられなかったかもしれません。
以前に、「とび職を父親に持った男子高校生」が書いた作文を目にしたことがあります。
その高校生の父親はとび職で、いつも作業服を着ていて、オンボロ車を運転して仕事に出ていく。帰ってくると体中が泥とホコリにまみれて真っ黒。庭先で服を脱ぎ捨てて、フンドシ姿になって風呂に飛び込むという毎日。
友だちが家に来ていても、同じことをするので、彼はそんな父親の姿が恥ずかしくて、嫌っていました。
普通の会社員の父親を持つ友だちを、うらやましく思うこともしばしばだったそうです。
さて。そんなある日のこと。
彼は、偶然、街角の高層ビルの建築現場に、父親が働く建設会社の名を見つけます。
思わず足を止め、ビルを見上げた彼は、「あっ」 と思い、その場で金縛りのように動けなくなりました。
彼は見てしまったのです。
建築中のビルのはるか上の階で、命綱をつけて、汗まみれになって懸命に働いている父親の姿を……。
もし足を踏み外して転落したら間違いなく即死です。
それは、まさに、父親が命がけで働く姿でした。
日頃、母親から粗大ごみ扱いをされている家での父とは、まるで別人のその姿を見た瞬間、彼は今まで父親のことをさげすんでいた自分が恥ずかしくなりました。
そして、今まで心の中で馬鹿にしていた父親に対して、心から尊敬の思いを抱いたのです。
シンガーソングライターの美輪明宏さんの名曲、「ヨイトマケの唄」を、あなたはご存知でしょうか。
タイトルにある「ヨイトマケ」とは、工事の地固めのときに、重い槌を数人で上げ下げする労働のことです。現在のような大型機械がなかった時代に、日雇いの労働者たちが「よ~いとまぁ~け」という掛け声とともに、滑車で重いものを持ち上げて、地面に落としては地固めをしたのです。
「ヨイトマケの唄」は、このヨイトマケに従事する母親を持つ男の子の歌です。
この歌に出てくる男の子も、「ヨイトマケの子」と、母親のことで馬鹿にされて泣いているときに、その母親が男たちに交じって、ヨイトマケの作業をしているところを目撃するのです。
男でも厳しい作業に、汗まみれで挑む母親。
その姿を見た子どもは、母親のことで馬鹿にされたくらいで泣いていた自分を恥じ、「勉強するよ」と心に誓う……と、そんな歌詞でした。
とび職は命がけだし、ヨイトマケは死ぬほどつらい肉体労働です。
現代の会社員だって、自分に合わないセクションで不得意な仕事をさせられたり、自分のキャパを超える仕事を任されたり、職場の人間関係に悩んだり……。
その厳しさには、なんら、変わりないと思うのです。
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