【日本の怪談話集】24 猫絵十兵衛

2024-01-08 20:49:3207:16 1910
所属专辑:日本語の物語
声音简介

朗読 スタヂオせんむ
内容 : 絵の上手な猫絵十兵衛が猫の絵を描くと、絵から本物の猫が。
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 むかしむかし、あるところに、猫絵十兵衛(ねこえじゅうべえ)と呼ばれるアメ売りがいました。
 なぜ猫絵十兵衛と呼ばれているかと言うと、十兵衛は猫の絵を書くのがとても上手で、十兵衛の描いた猫の絵からは、夜になると猫の鳴き声が聞こえてくると言われているからです。

 ある日の事、十兵衛はアメを売りながら村々を歩いているうちに、見た事のない町へと迷い込みました。
 道の両側には立派な家々が建ち並んでいますが、どこにも人の気配がありません。
(変だな。こんな昼間に、人が一人もいないなんて???。おや?)
 十兵衛が歩いていると、前から人が現れました。
 それは、黒い着物を着たきれいな娘です。
 娘は上品に、
?カランコロン
?カランコロン
と、下駄(げた)を鳴らしてやって来ます。
 十兵衛は、娘に声をかけました。
「あの、もし。そこの娘さん」
「きゃっあ!」
 娘はびっくりして、猫の様に大きな目をまん丸にしました。
「いや、驚かしてすみません。
 わたしは、ただのアメ売りです。
 あの、ちょいと物を尋ねますが、ここには人が住んでいるのでしょうか?
 先ほどから歩いていますが、そんな気配がありませんので」
 すると娘は、急にオイオイと泣き出しました。
「あの、娘さん? 何か気にさわりましたか?」
 娘は涙をふくと、十兵衛に言いました。
「いえ、すみません。
 実は少し前まで、ここにはたくさんの人が住んでいました。
 ですが、ある日大きなネズミが現れて、町の人を次から次へと食べていったのです。
 それでとうとう、生き残ったのはわたし一人になってしまいました。
 残ったわたしも、今日食われるか、明日食われるかと、毎日をおびえて暮らしていました。
 けれどそんな毎日にたえきれず、いっそ早く食われてしまおうと、わざと下駄を鳴らして歩いていたのです。
 旅のお人、どうかお助けて下さい」
「そうか、話はよく分かった。
 ここに迷い込んだのも、何かの縁です。
 相手がネズミなら、こっちにも考えがあります。
 娘さん、ちょっとわたしに、紙と筆を貸してくだされ」
 そこで十兵衛は紙と筆を借りると、そこに強そうな猫を次々と描いていきました。
 とても上手な絵で、今にも紙から飛び出てきそうです。
「さて、あとはネズミが出るのを待つだけだ」

 やがて夜になると、どこからともなく馬ほどもある大きな大ネズミが現れました。
 大ネズミはにおいをかぎながら、二人が隠れている屋敷へと近づいて来ます。
「くんくん。人間のにおいがするぞ。それも二人だ」
 大ネズミは屋敷の中に入って来ると、二人のいる床の前へとやって来ました。
「人間め! ここにおったか!」
 大ネズミはまっ赤な目を光らせると、今にも飛びかかろうとしています。
 そこで十兵衛は、自分の描いた絵の猫に命令しました。
「猫たちよ! あのネズミをやっつけてしまえ!」
「ニャーン!」
 絵の猫は一声鳴くと絵の中から次々と飛び出してきて、大ネズミに飛びかかりました。
「ニャン、ニャン、ニャーン!」
 猫たちは勇敢(ゆうかん)に戦いますが、やはり大ネズミは強くて、猫たちは次々と大ネズミに食べられてしまいます。
「娘さん、はやく次の紙を!」
 娘が紙を差し出すと、十兵衛は次から次へと猫の絵を描きました。
「出ろ出ろ。みんなであの大ネズミを、やっつけろ!」
「ニャン、ニャン、ニャーン!」
 これにはさすがの大ネズミも疲れてしまい、そのうち猫に首を噛み切られて死んでしまいました。
 それを見た娘は、涙を流して十兵衛にお礼を言いました。
「ありがとうございました。おかげで、父母や町のみんなのかたきを討つ事が出来ました」
 そして娘は、顔を桃色に赤らめると、
「身寄りのないわたしですが、どうぞ、お嫁にもらってください」
と、お願いしたのです。
 でも十兵衛が、
「いや、わたしには、可愛い妻も子もいます。ないのは、お金だけです」
と、言うと、娘は助けてくれたお礼にと、山の様な小判で十兵衛のアメを全部買い取ってくれました。
 十兵衛はアメの代りに小判を入れると、重たくなったアメ箱を背負います。
「おおっ、さすがに小判は、重いわ」
 その時、十兵衛は目覚めました。

「あれ、娘さんは? 小判は? ???ありゃ、夢か」
 アメ売りの途中で昼寝をしていた十兵衛の背中に、重いアメ箱がのしかかっていたという事です。


おしまい

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云胡不疑

内容:擅长画画的猫绘十兵卫的猫画中,出现了真正的猫。 很久很久以前,在某个地方,有个卖糖人叫猫绘十兵卫。要说为什么被称为猫绘十兵卫,是因为十兵卫猫画得非常好,据说从他的猫画中,一到晚上就能听到猫的叫声。有一天,十兵卫一边卖胡萝卜一边走村串巷,误入了一个陌生小镇。 道路两旁排列着漂亮房子,但是哪都没有人的气息。 (好奇怪啊。这样的白天,竟然一个人都没有?) 十兵卫走着走着,前面就出现了一个人。那个是穿着黑色和服的漂亮姑娘。 她文雅地说: 卡啦扣喽~ 卡啦扣喽~木屐的响声。十兵卫对女孩说:“那位姑娘。” “哇!” 女孩吓了一跳,像猫一样圆圆的大眼睛。

云胡不疑

“对不起,我是个卖糖人。请问这里住着人吗?我从刚才开始就一直走着,但是一个人也没有。” 十兵卫说完,那女孩掉下泪来。“其实在不久之前,这里住着很多人。但是,有一天,一只大老鼠出现了,一个接一个地吃掉了镇上的人。最后,幸存下来的就只有我一个人了。我每天都过着提心吊胆的生活,每天害怕被吃掉。但是,我实在受不了这样的日子,索性引起它的注意,赶紧把我吃了,故意打着木屐走路。赶路的人,请一定要帮帮我。” “这样啊,我明白了。闯进这里,也是某种缘分。 如果对方是老鼠,我也有自己的想法。姑娘,请把纸和笔借给我。” 十兵卫借了纸和笔,在纸上画了一只又一只强壮的猫。

云胡不疑

画得很好,好像马上就要从纸上跳出来了。 “好了,只等老鼠出来了。” 到了晚上,不知从哪里出来了一匹马那么大的老鼠。大老鼠一边闻着味道,一边朝二人藏身的房子走去。“有人类的气味,而且是两个人。” 大老鼠走进屋里,来到两人所在的地板前。 “啊!原来你在这里!” 大老鼠的眼睛一亮,眼看就要闯进来了。于是十兵卫命令自己画的猫。 “猫们!把那只老鼠干掉吧!” “喵!” 画中的猫叫了一声,就从画中不断跳出来,扑向大老鼠。 “喵、喵、喵!” 猫儿们勇敢地战斗着,但老鼠还是很强的,猫也一个接一个地被大老鼠吃掉。 “姑娘,快!下一张纸!”女孩把纸递给十兵卫,十兵卫画了一幅又一幅猫的画。

云胡不疑

“快出去!大家一起收拾那只大老鼠!” “喵、喵、喵!” 这下连大老鼠都累坏了,不一会儿就被猫咬断了脖子死了。看到这一幕的女孩流着眼泪向十兵卫道谢。 “谢谢你。托你的福,我替父母和镇上的人都报了仇。” 然后她把脸染成桃红色,说: “我无依无靠,请娶了给我吧。” 但是十兵卫说: “不,我有可爱的妻子和孩子,只是没有钱。” 女儿为了表示感谢,用山一样的小金币把十兵卫的糖果全部买了下来。十兵卫用小金币代替糖果,背上沉重的糖果盒。 “嗯,小金币果然很重啊。” 这时,十兵卫醒了。 “啊,姑娘呢?小金币呢!哎,做梦啊!” 在卖糖的途中睡午觉的十兵卫的背上,背着沉重的糖箱子走了。 故事完

liminjun

诶?!猜不到结局。。

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