吾輩は猫である72_吾輩は猫である（我是猫）_免费在线阅读收听下载

「やはり同日同刻じゃないか」と迷亭がまぜ返す。
“也是同一天同一时刻吗？”迷亭问道。

「いや日は違うようだ。何でも二十日頃だよ。細君が御歳暮の代りに摂津大掾を聞かしてくれろと云うから、連れて行ってやらん事もないが今日の語り物は何だと聞いたら、細君が新聞を参考して鰻谷だと云うのさ。鰻谷は嫌いだから今日はよそうとその日はやめにした。翌日になると細君がまた新聞を持って来て今日は堀川だからいいでしょうと云う。堀川は三味線もので賑やかなばかりで実がないからよそうと云うと、細君は不平な顔をして引き下がった。その翌日になると細君が云うには今日は三十三間堂です、私は是非摂津の三十三間堂が聞きたい。あなたは三十三間堂も御嫌いか知らないが、私に聞かせるのだからいっしょに行って下すっても宜いでしょうと手詰の談判をする。御前がそんなに行きたいなら行っても宜ろしい、しかし一世一代と云うので大変な大入だから到底突懸けに行ったって這入れる気遣いはない。元来ああ云う場所へ行くには茶屋と云うものが在ってそれと交渉して相当の席を予約するのが正当の手続きだから、それを踏まないで常軌を脱した事をするのはよくない、残念だが今日はやめようと云うと、細君は凄い眼付をして、私は女ですからそんなむずかしい手続きなんか知りませんが、大原のお母あさんも、鈴木の君代さんも正当の手続きを踏まないで立派に聞いて来たんですから、いくらあなたが教師だからって、そう手数のかかる見物をしないでもすみましょう、あなたはあんまりだと泣くような声を出す。それじゃ駄目でもまあ行く事にしよう。晩飯をくって電車で行こうと降参をすると、行くなら四時までに向うへ着くようにしなくっちゃいけません、そんなぐずぐずしてはいられませんと急に勢がいい。なぜ四時までに行かなくては駄目なんだと聞き返すと、そのくらい早く行って場所をとらなくちゃ這入れないからですと鈴木の君代さんから教えられた通りを述べる。それじゃ四時を過ぎればもう駄目なんだねと念を押して見たら、ええ駄目ですともと答える。すると君不思議な事にはその時から急に悪寒がし出してね」
“不，日期不一样。我的故事发生在二十七号。那天，老婆要求我请她听摄津大掾，当作年末礼物。这也不好拒绝，于是我问她当天演的是什么剧目。她查了查报纸，说今天演《鳗谷》，不喜欢，改天再去。第二天她捧着报纸过来跟我说，今天演《堀川》，咱们去看吧。我说堀川是用三味弦演奏的，徒有热闹的表象，其实一点内涵都没有，还是别看了。老婆听了这话，一副很不满的样子走出了房间。第三天，老婆过来说今天演《三十三间堂》，不等我回话，她马上咄咄逼人地说：‘反正我是一定要听摄津唱《三十三间堂》的，不管你喜不喜欢，因为是请我听，所以你必须陪我去。’我表示：‘你这么想去的话我就陪你去，不过这次是告别演出，人肯定特别多。我们不能一拍脑门冲过去。正常来讲，看戏之前都要先到茶馆，预约座位，办好手续才进得去。不按常规流程走是不太好的。恐怕今天还是去不成啊。’听到这里，老婆眼睛一瞪，说：‘我一个妇道人家不懂什么麻烦的手续，我只知道大原家的母亲、铃木家的君代都没办你那些手续，不还是顺顺利利地听完了？就算你是教师，也不必办完那么多手续才能看吧？你真是太过分了！’说着就要哭了。我见状，赶紧说：‘那我们就去碰碰运气吧，吃完晚饭之后坐电车去。’老婆破涕为笑，说：‘如果要去四点之前就得到那里，你别再磨磨蹭蹭的了。’我问她：‘为什么必须要四点之前到？’她说：‘听铃木家的君代讲，要早早过去占位置。’于是我确认说：‘是不是过了四点就绝对来不及了？’老婆肯定地点点头，说是这样。就在这个时候，不可思议的事情发生了。突然觉得浑身发冷。”

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