【美文欣赏】租来的人生

背景音乐：岸部眞明 - The End of the World

片尾曲：東山奈央 - ここから始まる物语

【借り物の人生】

われわれの人生について考えてみると、全てが借り物（かりもの）であり、本当にわれわれに属（ぞく）するものはないように思う。

想想我们的人生，都是租来的，没有一种东西真正属于我们。

あるがん患者（かんじゃ）がこのように言ったことがある。「こうやって数十年生きてきて、この時になって突然、私たちが努力して得てきたもの全ては、一枚の賃貸契約（ちんたいけいやく）の紙に過ぎず、全てが借り物ではないかという感覚に襲（おそ）われた。ある時期が来（く）れば、全て精算（せいさん）し、返済（へんさい）しなければならないんだ」

一位癌症患者曾说：“活了这么几十年，不过是一纸租赁契约，一切都是租来的。到了某个年限，就要缴清借款，还回去。

多くの人の目には、私のまた別の友人は、現在までのところ完璧（かんぺき）だと思われる人生を送っており、何もかも手に入れているように見えた。私たちはよく、「彼は何もないけど、お金だけは多いね」とからかったものだ。しかし彼は、ほとんどの時を充実感（じゅうじつかん）だけあって楽しさはない状況の中で過ごしており、仕事の上で常に各種（かくしゅ）の問題や危機（きき）に対応（たいおう）しなくてはならず、精神的には何も頼るものがないような気がすると言っていた。

在很多人看来，我的另一个朋友到目前为止，人生似乎十全十美，什么都有。我们曾开他玩笑，说他什么也不多，就是钱多。然而，他却说，他多半时间都活在有成就感却不快乐的状况中，工作上一直在应付各种挑战和危机，心灵上一直漂泊无依。

われわれは努力して勉強し、仕事をして、家を買って自分の安定（あんてい）を求め（もとめ）、車を買って快適さ（かいてきさ）を求める。伴侶（はんりょ）があり、子どもがあり、会社がある……。どれもこれも、われわれは自分の資産（しさん）であると考えており、これらを見て、ようやく慰め（なぐさめ）を感じる。しかし、伴侶も、子どもも、皆彼らの所有権（しょゆうけん）があなたにあるとは思っていない。あなたが自分のことを父母の資産の一部だとは考えず、小さな頃から独立するんだと騒ぎ立てていたのと同じである。生きている人間を資産と考えるのは、独りよがりの考えなのだ。

我们努力地读书工作，买房子让自己安定，买车以求舒适。有了伴侣，有了孩子、有了公司……每一样，我们都以为是自己的资产，看着这些，我们才感到安慰。但伴侣、孩子，都不认为他们的所有权属于你。正如我们并不认为自己是父母资产的一部分，自小就嚷着要独立一样。把活人视为资产，是一厢情愿。

この世界はもしかしたらとても大きなレンター会社に過ぎないのかもしれない。運命に恵（めぐ）まれた人も、サービスのよいレンター会社からいい車を借りているに過ぎず、これはひょっとしたら完全な人生の縮図（しゅくず）に過ぎないのかもしれない。旅の終りには心残りはあっても、前に進まねばならない。どんなに素晴らしい伴侶でも持ってゆくことはできず、順調（じゅんちょう）な人生であればあるほど、時の流れに怯（おび）える。

这个世界或许只是一个很大的租车公司。被命运善待的人，不过是向一个服务好的租车公司租到了一部好车，这或许也只是完美人生的缩影。旅程尽头有些不舍，却还是往前行。再美妙的陪伴都带不走，越顺的人生，时光流逝得越惊心。

借り物とは違うのは、その過程（かてい）や感情そして記憶は、全て自分だけの経験となることである。多くの人は借り物に対しては十分な気配り（きくばり）をするし、借り物でないものには、粗雑（そざつ）な扱い（あつかい）をするものだ。借り物の人生だからこそ、細か（こまか）な気配りをし、あるいは注意深く守る価値があるのは、ただ時間だけ、ただ情け（なさけ）だけなのだ。

与租来的东西不同，过程、情感与记忆，都是属于自己的独特经历。许多人对租来的东西十分精心，对不是租来的东西十分粗心。租来的人生，值得斤斤计较或是细细呵护的，唯有时间、唯有情。

【文本节选自呉淡如《借り物の人生》。本FM音频原声及部分图文翻译皆为熊喵原创素材，仅供学习者之间交流使用。如发现用作商业用途，必定追究法律责任。】