「その日は向島の知人の家で忘年会兼合奏会がありまして、私もそれへヴァイオリンを携えて行きました。十五六人令嬢やら令夫人が集ってなかなか盛会で、近来の快事と思うくらいに万事が整っていました。晩餐もすみ合奏もすんで四方の話しが出て時刻も大分遅くなったから、もう暇乞いをして帰ろうかと思っていますと、某博士の夫人が私のそばへ来てあなたは○○子さんの御病気を御承知ですかと小声で聞きますので、実はその両三日前に逢った時は平常の通りどこも悪いようには見受けませんでしたから、私も驚ろいて精しく様子を聞いて見ますと、私しの逢ったその晩から急に発熱して、いろいろな譫語を絶間なく口走るそうで、それだけなら宜いですがその譫語のうちに私の名が時々出て来るというのです」
“那天我带着小提琴,去向岛的朋友家参加年会暨合奏会。在场一共十五六个人,大部分是大小姐和贵妇,场面华丽,一切显得那么完美,我觉得这简直是近期一大快事。用完晚餐,合奏完,闲谈一阵,时间已经很晚了。正想着找个借口早点回去,某博士夫人来到我旁边,小声问我说,你知道○○子小姐病了吗。我大吃一惊,因为两三天之前看到她的时候,还跟以前一样,没觉得有什么异样。仔细询问了一下,原来跟我见面的当晚她就突发高烧,一直喃喃地说胡话。只是说胡话也就罢了,不可思议的是,她还时不时呼唤我的名字。”
主人は無論、迷亭先生も「御安くないね」などという月並は云わず、静粛に謹聴している。
这次别说是主人,就连迷亭都说不出“不得了啊”这样的客气话,认真地听着下文。
「医者を呼んで見てもらうと、何だか病名はわからんが、何しろ熱が劇しいので脳を犯しているから、もし睡眠剤が思うように功を奏しないと危険であると云う診断だそうで私はそ
れを聞くや否や一種いやな感じが起ったのです。ちょうど夢でうなされる時のような重くるしい感じで周囲の空気が急に固形体になって四方から吾が身をしめつけるごとく思われました。帰り道にもその事ばかりが頭の中にあって苦しくてたまらない。あの奇麗な、あの快活なあの健康な○○子さんが……」
“也叫了医生过来瞧,医生也不知道是什么病,只不过高烧太厉害,把脑子烧糊涂了。如果退烧药再不奏效就很危险了。我一听,立刻有了一种不祥的预感。就像被梦魇住,周围空气瞬间凝固成块从四面八方涌来,压得我喘不过气。都不知道自己是怎么回到家的,满脑子都想着这件事,太沉重了。那么漂亮、开朗、健康的○○子小姐……”
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