人型ロボの挑戦

2022-04-30 15:15:0104:27 1101
所属专辑:天声人语
声音简介

人型ロボの挑戦


 先日、群馬県の知人から細長い宅配便が届いた。「生もの」「割れもの」と注意書きが2枚貼ってある。自然薯だった。大人の腕ほどもある見事な姿は、どこもかけてはならない彫刻を思わせだ。

 生もので割れものとは、思い込みを裏切る異質の取り合わせだ。宅配で送るものは、あとはメロンぐらいだろうか。同様の意外性を、人間そっくりのロッボトにも感じる。人肌をまとったような機械には、軟と硬、温と冷が同居している。

 ある百貨店グループが、初売りの話題作りに人型ロボットの注文を取った。2体限りの特製で、価格は西暦にちなんで2010万円。それでも、全国で数十の応募があったそうだ。

 抽選のうえ、購入者と同じ顔、体、声を持つロボットを、開発会社のココロ(東京)が半年かけて作る。あらかじめ用意した言葉を、それなりの表情や身振りでしゃべるという。同じ大金を出すなら別の容姿にしたい気もするが、自分がもう一人いる世界も面白い。

 ロボットの好感度は、外見や動作が人間に近づくほど増す。ところが、ある時

点で強烈な不快感に転じ、人と見分けがつかない水準で好感に戻るという。中途半端に人っぽい段階を「不気味の谷」と呼ぶそうだ。『ロボットのいる暮らし』(ロボLDK実行委員会編)に教わった。

 人と機械という異質をすり合わせ、「谷」を越えようとする人型ロボ。重さ100キロというから、輸送時は「割れ物」というより大型機械の扱いだろう。包装の片隅にでも小さく「生もの」とはってやりたい。

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