「やせ薬」の功罪
作家獅子文六はあゆに目がなかった。淡泊な川魚で養生する気はさらさらなく、好物をとことん食す口である。長良川で塩焼き26匹を平らげたのは58歳、胃潰瘍の手術から半年後だった。
どんなご馳走も、残念ながら喉元を過ぎるまでの短命。古今東西の食いしん坊は、一口の至福をいかに重ねるかに心を砕いてきた。金と時間が許しても、胃袋のかさと健康が美食の夢に立ちはだかる。
さて、「やせ薬」ができるのだろうか。東京大の宮崎徹教授らが、体脂肪を減らす蛋白質そ見つけたという。脂肪を作る働きを抑え、ため込んだ分を使わせる効果があるそうだ。肥満のマウスに与えたところ、人に換算して5週で20キロの減量が確認された。
成人病の予防や治療のほか、やせたい所に注射すれば美容にも役立ちそうだ。ただ、教授は思ってもいないだろうが、飽食のためにこの発見を用いるのは気が引ける。食べては吐いた古代ローマの貴族を思い浮かべてしまう。
人の体は、生きるのに必要な甘みや油脂を美味しいと感じ、食欲に吸収するようにできている。私たちの遺伝子には「空腹の記憶」が刻まれているらしい。そのくせ、食べ過ぎない本能は脳が都合よく抑え、ついつい太る。美味は罪深い。
江戸前期の儒学者、貝原益軒は養生訓で腹八分目を解いた。〈珍美の食に對すとも、八九分にてやむべし。十分に飽き満るは後の禍あり〉。二分のあきは体のため、そして何より次の食事を楽しむためだろう。胃薬にもやせ薬にも頼らない、これぞ正しい食い道楽である。
【目がない】着迷,非常喜欢。
【さらさら】【更々】丝毫(不);决(不)
【とことん】到底。彻底。
【気が引ける】感觉寒碜;不好意思。
【刻む】切碎。铭刻。
【やむべし】务必中止。
【道楽】兴趣;爱好。吃喝嫖赌;放荡不羁;不务正业。
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好听的声音,背景音乐,我也喜欢
fxlewbn97mfwawoqr0la
这篇咋没发完呢
七月读书 回复 @fxlewbn97mfwawoqr0la:
当时大概是有事中断,然后又忘记了。谢谢宝宝提醒哦