女生徒(四十八)

2024-03-15 19:29:5804:55 361
声音简介

 お母さんは、さきにおやすみ。けさ早くからお出掛けだったゆえ、ずいぶん疲れたことと思う。お蒲団《ふとん》を直してあげて、お蒲団の裾のところをハタハタ叩いてあげる。お母さんは、いつでも、お床へはいるとすぐ眼をつぶる。

 私は、それから風呂場でお洗濯。このごろ、へんな癖で、十二時ちかくなってお洗濯をはじめる。昼間じゃぶじゃぶやって時間をつぶすの、惜しいような気がするのだけれど、反対かも知れない。窓からお月様が見える。しゃがんで、しゃッしゃッと洗いながら、お月様に、そっと笑いかけてみる。お月様は、知らぬ顔をしていた。ふと、この同じ瞬間、どこかの可哀想な寂しい娘が、同じようにこうしてお洗濯しながら、このお月様に、そっと笑いかけた、たしかに笑いかけた、と信じてしまって、それは、遠い田舎の山の頂上の一軒家、深夜だまって背戸《せど》でお洗濯している、くるしい娘さんが、いま、いるのだ、それから、パリイの裏町の汚いアパアトの廊下で、やはり私と同じとしの娘さんが、ひとりでこっそりお洗濯して、このお月様に笑いかけた、とちっとも疑うところなく、望遠鏡でほんとに見とどけてしまったように、色彩も鮮明にくっきり思い浮かぶのである。私たちみんなの苦しみを、ほんとに誰も知らないのだもの。いまに大人になってしまえば、私たちの苦しさ侘びしさは、可笑しなものだった、となんでもなく追憶できるようになるかも知れないのだけれど、けれども、その大人になりきるまでの、この長い厭な期間を、どうして暮していったらいいのだろう。誰も教えて呉れないのだ。ほって置くよりしようのない、ハシカみたいな病気なのかしら。でも、ハシカで死ぬる人もあるし、ハシカで目のつぶれる人だってあるのだ。放って置くのは、いけないことだ。私たち、こんなに毎日、鬱々したり、かっとなったり、そのうちには、踏みはずし、うんと堕落して取りかえしのつかないからだになってしまって一生をめちゃめちゃに送る人だってあるのだ。また、ひと思いに自殺してしまう人だってあるのだ。そうなってしまってから、世の中のひとたちが、ああ、もう少し生きていたらわかることなのに、もう少し大人になったら、自然とわかって来ることなのにと、どんなに口惜しがったって、その当人にしてみれば、苦しくて苦しくて、それでも、やっとそこまで堪えて、何か世の中から聞こう聞こうと懸命に耳をすましていても、やっぱり、何かあたりさわりのない教訓を繰り返して、まあ、まあと、なだめるばかりで、私たち、いつまでも、恥ずかしいスッポカシをくっているのだ。私たちは、決して刹那主義《せつなしゅぎ》ではないけれども、あんまり遠くの山を指さして、あそこまで行けば見はらしがいい、と、それは、きっとその通りで、みじんも嘘《うそ》のないことは、わかっているのだけれど、現在こんな烈しい腹痛を起しているのに、その腹痛に対しては、見て見ぬふりをして、ただ、さあさあ、もう少しのがまんだ、あの山の山頂まで行けば、しめたものだ、とただ、そのことばかり教えている。きっと、誰かが間違っている。わるいのは、あなただ。


      妈妈先去睡了。今天从很早就在外面奔忙,想来应该是很累了。我帮妈妈铺好被子,噗噗地拍打被子底部。妈妈总是一上床就立马闭上眼睛。

      我又到浴室里去洗衣服。最近养成的怪癖,快到十二点时才开始洗衣服。大白天里哗啦哗啦洗衣服消磨时间会觉得很可惜,不过其实可能正相反也未可知。透过窗户能看到月亮。我蹲下来吭哧吭哧搓洗衣服,偷偷地对着月亮笑了笑。月亮一副漠不关心的样子。我忽然觉得,在这同一个瞬间,在某一个地方也有一个可怜寂寞的女孩,同样也在这样洗衣服的时候对着这月亮偷偷地笑了,确实笑了。对此,我深信不疑。那是在遥远的乡村山顶上的一户人家,现在正有一个苦命的女孩,深夜默默地在后门那里洗着衣服。还有,在巴黎陋巷里一所肮脏公寓的走廊边上,也有一个和我年纪相当的女孩,正一个人悄悄地洗着衣服,对着月亮仰脸笑着。这些都是千真万确的,就像用望远镜亲眼看到了一样,连那色彩都非常鲜明、清晰地浮现出来。我们大家的痛苦,其实根本无人知晓。将来有一天长成大人,或许会不以为然地追忆往事,认为我们的这些痛苦和寂寞都非常可笑。可是,可是,完全长成一个大人之前的这段漫长且令人讨厌的时间,到底该怎样度过才好呢?没有人会教我们。难道这就像是麻疹那样的疾病,只能放任不管吗?但麻疹是会死人的,还有人因为麻疹眼睛瞎掉了。置之不理是不行的。我们就这样每天郁郁寡欢,或是大发脾气,慢慢地有人会失足走上歧路,堕落,造成无可挽回的遗憾,乱七八糟地过完一生。还有人一咬牙自杀身亡。到了那种地步以后,世人会万分惋惜地说:“啊,明明再多活上些时日就会明白的,再稍微长大些自然而然就明白了。”可对当事人本人来说,虽然特别特别痛苦,还是一直忍到了极限,竖起耳朵拼命想听世人会如何说,可世人只是在重复说些无关痛痒的训诫,只会说些“好啦,算了吧”这样的劝诫,我们总是羞耻地一尝再尝承诺落空的滋味。我们绝不是只顾眼前的享乐主义者,可是如果你指着极远处的那座山和我们说“走到那里的话,景致会特别好”,是,我们也知道,你这话一点儿都没错儿,肯定是你说的那样,但明明现在我的肚子正疼得厉害,你却对这疼痛视而不见,只是一味教我说:“喂喂,再稍微忍一下,走到那座山的山顶那里就好啦。”肯定有人错了。是你不好。

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