お洗濯をすまして、お風呂場のお掃除をして、それから、こっそりお部屋の襖をあけると、百合のにおい。すっとした。心の底まで透明になってしまって、崇高なニヒル、とでもいったような工合いになった。しずかに寝巻に着換えていたら、いままですやすや眠ってるとばかり思っていたお母さん、目をつぶったまま突然言い出したので、びくっとした。お母さん、ときどきこんなことをして、私をおどろかす。
「夏の靴がほしいと言っていたから、きょう渋谷へ行ったついでに見て来たよ。靴も、高くなったねえ」
「いいの、そんなに欲しくなくなったの」
「でも、なければ、困るでしょう」
「うん」
明日もまた、同じ日が来るのだろう。幸福は一生、来ないのだ。それは、わかっている。けれども、きっと来る、あすは来る、と信じて寝るのがいいのでしょう。わざと、どさんと大きい音たてて蒲団にたおれる。ああ、いい気持だ。蒲団が冷いので、背中がほどよくひん やりして、ついうっとりなる。幸福は一夜おくれて来る。ぼんやり、そんな言葉を思い出す。幸福を待って待って、とうとう堪え切れずに家を飛び出してしまって、そのあくる日に、素晴らしい幸福の知らせが、捨てた家を訪れたが、もうおそかった。幸福は一夜おくれて来る。幸福は、――
洗完衣服,把浴室打扫干净,然后悄悄地拉开房间的纸拉门,百合的香味传来。神清气爽。连心灵深处都清澈起来,这状态可以用“崇高的虚无”来形容。静静地换好睡衣,之前一直以为妈妈是在安安稳稳地睡着呢,这时候突然就那么闭着眼睛说起话来,吓我一跳。妈妈时不时地就会这样吓唬我。
“你说想要一双夏天的鞋子,今天我去涩谷,顺道看了一下。现在的鞋子也真贵呢。”
“没事儿,我也不是那么想要了。”
“不过,没有的话还是不方便吧?”
“嗯。”
明天也还是同样的一天吧。这一生,幸福都不会来。我很清楚。可是,还是相信着“一定会来,明天就会来”这样睡去更好吧。故意弄出很大的声响躺倒在被子上。啊,真舒服。被子冷冷的,所以后背凉凉的,刚刚好,不知不觉发起呆来。“幸福迟到了一个晚上。”迷迷糊糊地想起了这样一句话。一直在等待幸福,等啊,等啊,终于没能等到最后就跑出了家门。第二天,一个巨大的幸福的讯息送到了这个惨遭弃置的家里。已经晚了。幸福迟到了一个晚上。幸福……
注:
涩谷,日本东京的一个区,涩谷站附近是东京首屈一指的繁华地段。
想哥_70
声音很棒