1.あわてんぼう

2021-11-27 21:37:1704:07 104
声音简介

公众号riyuxuexishuji可能更新的快一些,另外还有其他书籍的原文,欢迎关注

買い物から帰ってくると、やにわに電話の着信音が鳴り響いた。「あ、俺、俺だけどさ。」街の喧騒をBGMにした早口が耳に飛び込んできた。貴之?!東京で一人暮らしをしている息子に一体何があったのだろう?私の心臓の鼓動は一気に速くなった。



「貴之?どうしたの?」


「大変なんだ。俺、事故を起こしちゃって。」


「事故?事故って、あんた、怪我したの?」


私の頭の中は、真っ白になってしまた。それでいて口だけはパクパクと勝手に動いて、何度も何度も息子に身体の異変がないかどうか問い続けた。


「俺は大丈夫なんだけどね・・・相手の人は、車の修理代の百万円を今日中に支払ってくれたち示談にするっていってくれてるんだ。だから、今すぐ相手の人の口座に百万円振り込まなくちゃならないんだ。頼むよ・・・。」


私は震える手振込先の口座番号をメモした。電話を切ると、箪笥の引き出しの奥から虎の子の通帳と印鑑を出して、お使い用のずだ袋の中に押し込むと、玄関を出た。


「それで、お前、百万え円振り込んだのか?」帰宅して、夕方の一件を聞くと、主人は口をへの字に曲げて目を剥いた。聞くや否や主人は息子に電話をした。


「貴之は事故など起こしてはないようだよ。お母さん、やられたな。どうやら、今流行りの『オレオレ振り込め詐欺』に引っ掛かったようだよ。」


私は、ヘナヘナとその場に座り込んでしまった。よかった、貴之は無事だったのだ。騙された口惜しさと、息子が無事だった安堵感で、私の頭の中はごっちゃになっていて何か言い忘れている大事なことがあるような気もしたが、思い出せなかった。


一週間ほど経ったある日、電話の着信音が鳴った。「もしもし、母さん、俺、貴之だけど。」念のため、デェスプレーを確認すると「貴之・携帯」と出ていた。どうやら今度は本物らしい。


「貴之、どうしたの?」


「それはこっちのセリフだよ。今日、銀行で給料おろして通帳見たら、先週母さんから百万円振り込まれていたんだけど、これ、もらっちゃっていいの?」


「百万円・・・」


ああそうだ、思い出した。詐欺犯の電話で慌てていた私は、口座番号をメモした紙を電話の横に置いたまま、家を飛び出してしまったのだ。そのことに銀に着いてから気がついて、仕方なく財布の中に入れっぱなしになっていた息子の口座番号のメモを出して、息子の口座に直接お金を振り込んだのだった。だって、それがあの時貴之にお金を届けることができる唯一の方法だったから・・・。


用户评论

表情0/300
喵,没有找到相关结果~
暂时没有评论,下载喜马拉雅与主播互动