結婚披露宴の司会を多くやっていると、いろいろのことがあるものだ。これはその一例。
堅い挨拶が済み、アルコールが入ると、スピーチや歌が一段と楽しい雰囲気を醸し出す。聞いている方も賑やかになる。「オレに何か喋らせるのなら出席はしないぞ。」などと「予防線」を張っていた先輩や親戚までが、「一言喋らせろ。」「一曲歌うよ。」ということになるのだ。
この日も、順調に宴が運、そろそろ大団円となろうかという時だった。花嫁の父親が、司会者のそばに来て、
「オレは、ねえ、あそこの、うちの娘の横に座っている、あの野郎、オレは大嫌いだ!」と言ったのだ。初めは、ジョークだと思っていたが、どうも目が据わっていた。気持ちがエスカレートして、ついにマイクを持ち、指さして、
「娘のそばの男、憎らしい。ぶん殴ってやりたいよ」
その時、お兄さんが飛んできてことなきを得たが、何とも白けたムードが漂った。
やがて新郎新婦からそれぞれの両親に花束が贈られた。花嫁の母親は号泣し、ハンカチを何度も折り返していたが、父親は両足を少し開いてしっかりと立ち、何かを堪えるようにずっと下を向いていた。ところが、不意に顔を上、新郎に向かい何か言った。
「娘をよろしく頼む。」
声は聞こえなかったが、口は確かにそう言っていた。父親だって泣きたいはずだ。娘の晴れ姿を目の前にして、母親と同じように涙を流したいはずだ。結局は新郎をぶん殴ることなく、「故郷」の歌を涙ぐんで歌った。
そして両家の代表、新郎の父親の謝辞。
「本日は皆様ご多用中のところ、一輝、亜由美の結婚披露宴にご出席たまわりまして、誠にありがとうございました。亜由美のお父さんが、うちの息子が憎い、ぶん殴りたいとおっしゃいました。一人娘を取り上げた一輝は、本当に悪いやつです。うちにも下に娘が一人います。これを出す時、私もきっと同じことを言うでしょう。人ごととは思えないのだ。ですが、こんなに素晴らしい亜由美をお迎えし、息子だけが殴られることは、もったいないと思います。半分は私にも殴られる栄誉をください。」
一同、ヤンヤ、ヤンヤの大拍手。涙と感激のるつぼは暫し止むことがなかったのだ。
婚礼喜宴主持的多了,会碰上各种各样的事情。这是其中的一个例子。
当刻板的致辞结束了之后,酒一下肚,各种发言和歌声为会场营造出愈发愉快的气氛,连听众也会变得活跃起来。就连那些设“防线”,说“如果让我讲话,我就不参加”的长辈和亲戚也开始说,“让我讲一句吧”“我要唱一首”。
这一天,喜宴顺利地进行着,就在大家认为即将圆满结束地时候,新娘的父亲来到司仪的身旁,说道:
”我呀,我最讨厌那边的、坐在我女孩身边的那个家伙了!“起初还以为她是在开玩笑。但见他双眼直盯着新郎,情绪越来越亢奋,最后拿起话筒,指着新郎说:
”我女孩旁边的那个家伙,太讨厌了。我真想狠狠揍你一顿啊!“
这时,新娘的哥哥跑过来,总算劝住他得意忘形平安无事。但整个气氛却一下子冷场了。
过了一会,新郎新娘要向双方的父母献花束。新娘的母亲号啕大哭起来,手帕折了又折。而父亲却双腿稍微张开、一动不动地站着,像是在强忍着什么似的一直低着头。但是他突然抬起头,面向新郎说了些什么。
”女儿,就交给你了。“
虽然听不到声音,但看嘴型确实是那样说的。连父亲也想哭出来吧。看着眼前盛装的女儿,应该也想像母亲一样流泪吧。最终,新娘父亲非单没有动手狠揍新郎,反而热泪盈眶地高歌了一曲《故乡》。
接下来新郎的父亲代表双方致谢辞:
”今天,感谢各位来宾在百忙之中来参加一挥和亚由美的结婚喜宴,真诚地谢谢大家!亚由美的父亲说了,他讨厌我儿子,还想揍他一顿。我儿子抢走了他的独生女儿,实在是个坏家伙!我家也有一个小女儿。等她出嫁时,我也一定会说同样的话吧。不能当做事别人的事。但是,娶这么优秀的亚由美进门,仅仅是儿子一个人挨揍,我认为还不够。我要求把挨揍的荣誉也分给我一半!“
全场一起热烈鼓掌喝彩,热泪及感动相交融,令人久久难以平复。
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