四番めのお姫さまは、それほどだいたんではありませんでした。
ですから、広い広い海のまっただ中に、じっとしていました。それでも、お姫さまの話では、そこがいちばん美しいところだったということです。どちらを向いても、何マイルも先まで見わたすことができました。空は、大きなガラスのまる天井(てんじょう)かと思われました。
ときどき目にうつる船は、ずっと遠くに、カモメのように見えました。ふざけんぼうのイルカは、トンボ返りをうっていました。そうかと思うと、大きなクジラが、鼻の穴から水を吹きあげていました。そうすると、まわりに、何百ものふんすいができたように見えました。
カモメ:海鸥
ふざけんぼう:淘气鬼
トンボ:蜻蜓
とんぼ返り:
1、ある場所に行って用を済ませ、すぐに戻ってくること
例:彼は仕事で名古屋までとんぼ返りしなければいけなかった
2、宙返り(ちゅうがえ) 翻跟头
噴水:喷泉
今度は、五番めのお姫さまの番になりました。
お誕生日が、ちょうど冬の最中でしたから、このお姫さまは、おねえさまたちとはちがったものを見ました。
海は、すっかりみどり色になっていて、まわりには大きな氷山が浮かんでいました。その氷山の一つ一つが、真珠のようにかがやいて、人間のたてた教会の塔よりも、ずっとずっと大きかったと、お姫さまは話しました。
おまけに、そういう氷山は、世にもふしぎな形をしていて、ダイヤモンドのようにキラキラかがやいていました。
お姫さまは、いちばん大きな氷山の一つに、腰をおろしました。船の人たちは、お姫さまが、氷山の上にすわって、長い髪の毛を風になびかせているのを見ると、びっくりして、向きをかえて行ってしまいました。
靡かせる:流れるように動かす 使飘舞
向きを変える:调头
やがて、日がくれかかると、空は雲でおおわれました。いなずまがピカピカ光り、かみなりがゴロゴロ鳴りだしました。
暮れかかる:暮れ方になる
稲妻(いなずま)
黒い海の波に、大きな氷山が、高く持ちあげられ、赤いいなずまに照らしだされて、キラキラ光りました。
どの船も、みんな帆をおろして、船の中の人たちは、おそろしさにふるえていました。お姫さまは、波のあいだをただよう氷山の上に静かに腰をおろして、青いいなずまが、ジグザグに、ピカピカ光る海の面にきらめき落ちるのをながめていました。
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