上司に飲み物の希望をたずねる場合、より適切なのはどちらでしょう?
1、部長は、何をお飲みになりたいですか。
2、部長は、何をお召し上がりになりますか。
「飲む」のは部長ですので、「飲む」を尊敬語であらわす必要があります。1「お飲みになりたいですか」の「お飲みになる」は「飲む」を「お~になる」という尊敬表現の形にあてはめたもので、適切な尊敬語です。
他方、2「お召し上がりになりますか」の「お召し上がりになる」、これは、上位の人が飲食するようすをあらわす尊敬語「召し上がる」を、更に「お~なる」という尊敬表現の形にあてはめたものです。「お召し上がりになる」は尊敬表現を2つ重ねたもののわけですね。
通常重ねた敬語表現は「二重敬語」と呼ばれ、誤った敬語表現とされています。しかし、「お召し上がりになる」は、すでに一般的に定着した敬語表現として許容されており、誤りとはいえません(文化審議会「敬語の指針」平成19年2月)。
ということは、部長に飲み物の希望をたずねる場合、「お飲みになりたいですか」「お召し上がりになりますか」どちらで表現してもよいということになりそうですね。
確かに、敬語として正しいかということであれば、1、2どちらも正解です。
しかし、問題はたずね方にあります。2が「飲みますか」と尋ねているのに対し、1は「飲みたいですか」と尋ねています。
じつはこの1が不適切。上位の人に対して、その願望を直接問うのは失礼とされているので、「~たいですか」という問いかけは禁物なんです。
ということで、上司に飲み物の希望をたずねる場合により適切なのは、2「部長は、何をお召し上がりになりますか」でした。
ちょっと今回は、日本語というよりもマナーのお話になってしまいましたねが、上役の人とも飲食する機会が多いこのシーズンですので、あえて取り上げてみました。
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