取引先の会社の人と話している場面です。敬語の使い方が最も適切なのは、どれでしょう?
1、御社の社長様は、少し遅れていらっしゃるとうかがいました。
2、御社の社長は、少し遅れて参られるとうかがいました。
3、御社の社長は、少し遅れておいでになるとうかがいました。
取引先の人に対して、「あなたの会社の社長は、少し遅れて来ると聞いた」という意味のことを敬語を使って言っています。
「聞いた」のは話し手である自分ですので、謙譲語を使う必要があります。この点、1から3までの文はすべて「聞く」の謙譲語「うかがう」を使って「うかがいましたが」と言っており、適切ですね。
次に、「来る」のは相手の会社の社長ですので、ここは尊敬語を使って表す必要があります。「来る」の尊敬語は「いらっしゃる」「おいでになる」ですので、この点、1、3は適切です。
2の「参られる」は「来る」の謙譲語「参る」を尊敬表現の型「~れる」に当てはめてしまったもので、得意先の社長の「来る」を言うには不適切。
相手サイドの人のすることを勝手に下げてしまっては怒られますよね。「参る」は、相手に対して自分サイドの人間が「来る」と言う場合に使いましょう。「弊社の社長はすぐに参ります」という具合です。
さて、これで1と3が残りました。この2つの文の他の違いは、1は「社長様」と言い、3は「社長」と言っている点ですが、どちらが正しいでしょう。
一見、1の方が丁寧で好ましいように思えますね。でも、より適切なのは3の「社長」の方です。
というのは、一般的に役職名は敬称を兼ねるとされているからで、「社長様」としてしまうと、敬称が重複してしまうことになるんですね。
ということで、正解は、3「御社の社長は、少し遅れておいでになるとうかがいました」でした。
役職名に様をつけるのは適切ではないこと、「来る」の尊敬語は「いらっしゃる」「おいでになる」であることを憶えておいてください。
なお、今回のお題では取り上げませんでしたが、「来る」の尊敬語には、他に「お越しになる」などもあります。
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