15课

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「自分を知らないで触れ合いなんかあるのですか、自分の匂いを知ることからはじめなければ、相手が分かったり、ものが見えたりしないのでは」と、若者の一言がそう聞こえたと言う。 　最後に「『あなたも臭い』と言われて、私は変わりました」と冒頭の言葉が繰り返された、そして、「今、自分も匂いがするのだという思いを旅行鞄に詰めて、旅を続けています」と、話がまとめられた、講演者は「「このテーマで次のベストセラーが書ければと願っています」と添えて、会場を和ませ、大きな拍手のうちに、講演を締めくくった。

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「ぜひいろいろな所の話をしてくれ」と頼まれて、「さすがに世界を旅した人だ」と感心した表情で聞く若者に、つい調子に乗って匂いの話を始めた、「どこにも独特の匂いがあって、目を閉じていても、どこいるかわかる」と自慢気に言うと、若者が「そういえば、日本もそうですね」と話を合わせた、その一言で講演者は黙って込んでいただけに、若者の一言がショックだった。 　しかし、考えてみれば「日本人には気がつかない日本の臭いがあってもおかしくない」と若者の言うことが納得できた。何も言えなかったのは、自分の生活している場所が他の人にはどう見えるか考えても見なかったことを恥かしく思ったからだそうだ。

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触れ合う(旅行鞄) 　「『あなたも臭い』って、言われたことがありますか」と意外な問いかけで話が始まった、「その一言が私を変えました」と続ける講演者の言葉で会場が１つになって耳を傾けた。ベストセラー『世界触れ合いの旅』の著者に依頼した講演会でのことである。 　若者の何気ない一言が思わず本が売れて、知らぬ間にいい気になっていた自分を変えた、そう言って、講演者はインドでの出会いについて話し始めた。日本に留学した経験がある若者と気が合い、食事をすることになった「アジアを始め、世界中を歩き回って、触れ合いや体験を重ねてきた」と話すと、